3. CPU
ID #1048
3.6 後天的障害
高集積化・高速化が劇的に進んだ現在、 動作周波数も3GHzを超えたものもあり、 常温状態では非常に高温の熱を発して自ら冷却することができず、 PentiumやK6以降のCPUでは冷却装置無しではすぐ熱暴走を起こして 動作することができなくなってしまいました。 そのため、ヒートシンクや冷却ファン(図3.3~図3.5)といった冷却装置を用いて CPUを冷却する必要があります。
図3.3 CPU冷却ファン上部外観 | 図3.4 CPU冷却ファン上部外観(その2) |
図3.5 CPU冷却ファン下部外観 |
冷却にはCPUを十分に冷却できる仕様の装置を規定の設置手順を遵守する必要がありますが、
作業者の装着ミスやご認識により冷却装置の設置不良が起こる可能性があります。
また無事装着し稼動した後も、冷却装置の故障によって冷却が十分に行われない事態も考えられます。
これら熱による障害によってCPUの動作が不安定になったり、動作停止状態に陥ります。
以下に主な要因の例を挙げます。
- 冷却能力が不十分な冷却装置の設置
- 冷却装置の設置不良
- 冷却装置の不適切な位置で設置
- 冷却装置の電源コネクタの接続忘れ
- グリスの塗り忘れ
- グリスの不適切な厚さで塗布
- 冷却装置の故障による温度障害
- 不適切な動作環境による温度障害
- 日中炎天下環境でコンピュータ全体の温度上昇
- 埃や障害物、排熱環境の悪い室内でコンピュータ全体の排熱不良
特にPentium DやOpteron、Athlon 64など最近の高周波数で動作するCPUは、 適切な能力を持つ冷却装置を設置する必要があります。 また低品質の安価な冷却装置にも注意が必要です。
など
など
CPUはまた、高集積化および高速化のために消費電力も非常に大きくなりました。 そのために電源装置およびシステムボードは、CPUに安定した電力を間断無く供給する必要があります。
しかし、近年の価格競争激化により電源装置やシステムボードは低価格で低品質の製品も出回り、 CPUへの供給電力が不十分または不安定で、CPUの動作が不安定になる場合があります。 また、ユーザまたはPC/AT製造者の知識不足により、非力な電源装置を設置したために CPUへの供給電力が不足する場合があります。
供給電力による障害によってCPUの動作が不安定になったり、動作停止状態に陥ります。
以下に主な要因の例を挙げます。
- 電源装置の電力供給不足
- 不安定な供給電力
- 雷からの過電流(サージ)
PC/ATシステムが高速CPU、豊富な周辺機器を備えて高消費電力にもかかわらず、 電源装置の供給電力量が不足して動作停止します。
電源装置の構成が低品質な電気素子を用いているため、交流側のちょっとした電力の揺らぎや 周辺機器の可動状況により供給電力が一定しないために動作停止します。
落雷によるサージが交流側から流れて内部回路を破壊し、動作不能になります。
- 静電気の放電
- 誤装着による接続ピン破損
摩擦によって電荷の蓄えられた人体または物体からの接触時の放電によって流れる電流で、 内部回路が破壊され、動作不能になります。
作業者がコネクタ形状の異なるソケットや装着向きの誤りに気づかずに強引に装着を試みたため、 下部のコネクタピンが破損して動作不能になります。