最近の急速な大容量化のための高密度化で、磁気ヘッドと磁気ディスク間の距離は現在ナノスケールになり、追随して磁気ディスクやはより平坦さかつ水平さを、磁気ヘッドはより微細化を、 ライナーもより滑らかさとより薄さを、VCMは高精度化と高速化を、というように各構成部品のより性能向上が求められています。しかし性能が向上するにつれ、 各部品を構成する素子が総じて微細化および高精度化する必要が生じて品質保持が難しくなる上、微細化につれ製品寿命や振動/衝撃、そして温度変化などに対する耐性はより低くなりつつあります。
障害の性質としては、設計不良や製造工程上の不良などが原因の先天的な障害や、経年劣化や動作/取扱環境が原因の後天的な障害の2種類が考えられます。
一部の設計上または製造工程上の不良を持つ構成部品により、機器が設計された耐用駆動時間内に不完全性が生じる現象です。初期不良とも呼ばれます。
HDDを構成する各部品の先天的な障害の原因の例は以下のようなものがあります。
♦ 円盤研磨不良による磁気ディスク表面の一部に僅かな凸凹で磁気ヘッド衝突 ♦ 埃や塵などによる磁気ディスク表面の一部に僅かな凸凹で磁気ヘッド衝突 ♦ 工程不良による磁性体膜厚のムラ ♦ 軸受の固定不良による磁気ディスク回転時のブレ |
♦ 工程不良により玉軸受の摩擦計数が一様でなく回転速度が不安定 |
♦ ヘッド部品の磁化・磁界検出特性不良 |
♦ 歪みで磁気ヘッド浮上または衝突、位置ズレ |
♦ 動作不良で一部トラック上に移動不能 ♦ 動作不良で特定パターンの移動不能 |
♦ 基盤やプリント配線、電子部品の特性不良 ♦ 基盤やプリント配線、電子部品の接続不良 ♦ クロストークによるキャッシュデータの変化 |
♦ 伝送特性またはノイズ特性(S/N比)などの特性不良 ♦ 接着不良による通電不良 |
これら先天的障害のほとんどは製造工程の最終段階に行う品質検査によって検出されます。しかし、これらで発見される障害は、製造時より発生し、かつ再現率が比較的高い障害のみであり、 また品質検査の検査品質によっても障害が見逃される場合も少なくありません。例えば、以下のような例が挙げられます。