1.2.障害 (続き)


  • 後天的障害
  • 機器を構成する部品の製造時の不良に起因しない障害の全てを指します。以下に後天的障害の原因の例を挙げます。

    環境仕様の範囲内で取り扱われ続けた機器が、時と共に各部品の物性や剛性などの特性が劣化し、動作保証期間を終えた後に破損する症状です。
    ♦  磁気ディスクの保磁力低下
    • エラーやリトライ動作の増加

    • 不良セクタ増加
    ♦  ライナー磨耗による欠乏で磁気ディスクと磁気ヘッドの衝突
    • 塵が内部に発生

    • 磁気ヘッド劣化で記録再生不良
    ♦  軸受磨耗で磁気ディスクがブレて磁気ヘッドの浮上/衝突
    • 磁気ヘッドの浮上でリトライ動作増加

    • 磁気ヘッドの衝突で動作不能
    ♦  内部発生した塵
    • 磁気ディスクの不良セクタ発生

    • 磁気ヘッドが衝突し記録再生機能劣化
    ♦  磁気ヘッドの記録再生機能劣化
    • エラーやリトライ動作の増加

    ♦  スピンドルモータ劣化
    • 記録や再生が不安定でエラーやリトライの増加

    ♦  VCM劣化
    • 移動遅延でタイムアウトエラーやリトライ、不良セクタの増加

    ♦  コントローラやコントローラ構成電子部品の接続半田剥がれ
    • エラーやリトライ動作の増加

    • スピンドルモータやアクチュエータの制御不良
    • 電源断で電気投入後も無反応
    ♦  内部配線劣化
    • クロストークの発生でエラーやリトライ発生が頻発し動作が不安定

    • 信号線断裂で動作不能

    機器は製造されて品質保証試験を終えた後から環境による劣化が始まります。以下に東芝製2.5インチHDDの環境仕様を例に挙げます。
    ♦  電源電圧 :   5V±5% 
    ♦  温度 :   5〜55℃(動作時) 
     -40〜60℃(非動作時)
    ♦  湿度 :   8~90% R.H.(結露なし)
    ♦  振動 :   9.8m/s2 [1G] (動作時)
     49m/s2 [5G] (非動作時)
    ♦  衝撃 :   3,185m/s2 [325G] (動作時)
     8,330m/s2 [850G] (非動作時)

    上記の仕様範囲外の環境で動作させると、一時的な不良や塵の内部発生など品質劣化を起こします。そして著しく逸脱した環境での動作は、最悪の場合動作不能に陥ります。 脱着時の衝撃などでも障害の原因になったり、接続の方法によっても一時的な障害が発生します。以下に障害の原因とその症状の例を挙げます。

    ♦  記録・再生中の電源断で磁気ヘッドと円盤が衝突
    ♦  雷などのサージによりコントローラが破損
    ♦  電力環境事情の異なる外国での使用で、コントローラ破損
    ♦  各デバイスまたはデバイス上の構成部品の一時的または恒久的な特性劣化
    • 日中炎天下環境でコンピュータ全体の温度上昇

    • 埃や障害物、排熱環境の悪い室内でコンピュータ全体の排熱不良
    • 極低温化の一時的な動作不良
    ♦  高湿度下環境の内部結露により動作不能
    ♦  機器水没により動作不能
    ♦  記録・再生中の衝撃で磁気ヘッドと磁気ディスクが衝突または浮上
    ♦  記録・再生中の衝撃の磁気ヘッドの記録・再生位置ズレ
    ♦  停止時の衝撃で磁気ヘッドと磁気ディスクが衝突し、磁気ヘッドや磁気ディスクの破損
    ♦  落下や脱着などの激しい衝撃での位置ズレや円盤軸受破損
    ♦  コンローラ基盤上の電子部品の接合部分の半田剥がれ
    ♦  振動や衝撃で、デバイスから塵の発生
    ♦  帯電した人体との接触による放電でコントローラ破損
    ♦  無理な脱着によって接続部や接続ピン、ケーブルの破損
    ♦  非対応のケーブル挿入による接続部や接続ピン、ケーブル破損
    ♦  ケーブルコネクタの接続向き不良
    ♦  SCSI ID設定の重複による動作不良
    ♦  ATAデバイス設定ピン(ジャンパピン)設定不良
    ♦  ATA通信ケーブル(40芯と80芯)の誤選択による動作遅延
    ♦  ケーブルの接続忘れによる動作不能


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