図31 通信インターフェース(HDD側面コネクタ部) |
外部からコントローラに対して記録データや再生データの送受信や、状態報告などの各種命令、そして命令処理結果の受信など様々な作業を行うため、SCSI(Small Computer System Interface)とATA(Advanced Technology Attachment)、USBやIEEE1394などの通信インターフェースを使用します。 ATAおよびSCSIはANSI(American National Standards Institute、米国規格協会)の各技術委員会によって規格化されたパラレルデータ通信が現在主流の内蔵HDD用通信インターフェースです。 また、通信速度は遅いものの拡張性が高くリムーバブルHDD用途のUSB(Universal Serial Bus)およびIEEE1394などのシリアルデータ通信インターフェースを採用する場合もあります。 どの通信インターフェースでもマスストレージ命令と呼ばれる補助記憶装置用の命令セットを用います。
SCSIは、ANSIのT10委員会によって規定されました。元々は周辺機器を含むコンピュータ同士の通信を行うためのインターフェースと命令を規定する規格で、HDDはもちろん光学ドライブや印刷機、スキャナなど様々な周辺機器と接続してデータ通信を行うことが可能です。1つの通信路で最大7台または15台と通信を行うことができ、さらに1台の機器に7台までの論理機器(Logical Unit Number, LUN)を搭載可能です。SCSI機器の選択はIDによって識別します。
SCSIは高拡張性、高機能、高信頼性が特徴ですが、それ故に開発にコストがかかるために対応機器が高価であったため、SCSI機器は業務用に普及しました。
SCSIの登場時は通信速度が5MB/sでしたが、技術向上に合わせてインターフェース規格もいくつも規格化されました。そのため、コネクタのピン数は50ピンまたは68ピンで、さらに外部接続用コネクタの形状は複数規定され、機器によっても採用されているコネクタが異なる場合があるので、ケーブルの選択には注意が必要です。図32は内蔵用の50ピンケーブルのコネクタ部分です。現在SCSI-3のハードウェア規格としてUltra320(パラレルケーブル、最大通信速度320MB/s)が発表され、普及しています。
図32 SCSI内蔵用50ピンケーブルコネクタ部分 |
ATA規格はANSIのT13委員会によって作成されました。最初のHDD用通信インターフェース規格として提唱されたIDE ( Integrated Drive Electronics )をベースにANSIが規格の統一化を目的に規格化したもので、HDD専用設計だったそのシンプルな特徴からHDDの低価格化を実現して一般に広く普及しました。 現在はATAPIと呼ばれる拡張規格もあり、光学ドライブなどのパケット通信用の機器も対応可能です。ATA対応HDDはIDE HDDとも呼ばれます。1本の通信ケーブルで最大2台まで通信可能です。PC/AT互換機では通信ケーブルを最大2本まで取付可能で、計4台まで利用可能です。 現在はATA-7(パラレルケーブル、最大転送速度133MB/s)です。ケーブル形状はパラレルケーブルでは40芯と80芯の2種類あり、どちらもコネクタは同じ形状の40ピンコネクタです(図33)。80芯ケーブルの偶数芯はグラウンド(GND)に接続されて隣接した奇数芯とツイストすることでノイズやクロストーク耐性を高め、Ultra DMA Mode3(44MB/s)以上の高速転送を可能としています(図34)。 したがって、Ultra DMA Mode3対応のHDDに40芯ケーブルで接続すると、最速通信モードで転送できずに動作遅延の原因となります。
図33 ATAケーブル [ 40芯ケーブル(上) / 80芯ケーブル(下) ] | 図34 ATAケーブルコネクタ部分(どちらも40ピン)
[ 40芯ケーブル(右) / 80進ケーブル(左) ] |